国土交通省では、全国各地で増加する傾向にある空き家を、地域活性化や住まいの確保に悩む世帯向けに活用したり、流通を促進するための試みとして、空き家の買収や改修、撤去(除却)費用の一部を補助する制度を設置しています。また、各地方自治体でも「景観を守る」「災害に強い街を作る」といった目的のため、特定の地域における木造住宅の撤去費用を補助しています。ここでは、各自治体が設けている撤去費用の補助制度と、国土交通省が行う賃貸物件を対象とした「住宅確保要配慮者あんしん居住推進事業」について解説していきます。
各自治体が設けている住宅の撤去費用の補助制度
各自治体では、「景観を守る」などといった目的のため、対象となる建物を解体撤去する際にかかる費用の一部を補助しています。以下でその補助制度の一部をお伝えします。
愛知県名古屋市
都市景観形成地区内において、都市の景観を守るため、優れた都市景観の形成に著しく寄与すると認められれば、建物等除却助成が受けられます。また、木造住宅密集地域において、延焼の危険性が特に高い地区において老朽木造住宅を除却する場合、老朽木造住宅除却助成が受けられます。
~関連情報~
名古屋市の「建築物等除却助成」に関するページ
名古屋市の「老朽木造住宅除却助成」に関するページ
東京都荒川区
安心して住める災害に強い街作りを推進するため、危険な老朽空家住宅を除却する費用の一部を補助しています。
~関連情報~
荒川区の「老朽空家住宅除却助成事業」に関するページ
兵庫県神戸市
老朽家屋が倒壊したり部材が飛散するなどの危険から市民を守るため、神戸市建築物の安全性の確保等に関する条例(老朽危険家屋関係)に基づく勧告に応じて所有者が老朽危険家屋を除却する場合に、除却費用の一部を補助する支援制度があります。
~関連情報~
神戸市の「老朽危険家屋対策」に関するページ
上記で紹介したような補助制度をうまく利用すれば、空き家を解体してその跡地を有効活用することができます。今回取り上げた補助制度は、助成を受けるに当たっていくつかの要件を満たす必要があります。必ず各自治体のホームページなどで詳細を確認するようにしてください。
住宅確保要配慮者あんしん居住推進事業
住宅確保要配慮者あんしん居住推進事業は、空き家となっている民間の賃貸住宅を、住まいの確保に悩む高齢者や障害者、母子や父子世帯などの入居(賃貸契約)を条件として行う、リフォームや省エネルギー改修工事、環境整備にかかる費用の負担軽減のために用意されました。
対象となる物件には、戸建て住宅のほかに事務所も含まれていますが、床面積や設備、耐震性、バリアフリー性など、一定の要件を満たす必要があります。また、この事業を実施する地域は、「住宅確保要配慮者あんしん居住推進事業実施支援室」がホームページ上で公開する事業対象地域のみとなるため、事業を利用できるかどうか、あらかじめ確認しておくようにしましょう。
~関連情報~
「住宅確保要配慮者あんしん居住推進事業」専用ホームページ
空き家は、定期的に管理せずに放置しておくと老朽化が進み、住居としての価値を失ってしまいかねません。ここで紹介した制度を利用すれば、地域活性化や住まいの確保に悩む方のために、空き家を役立てることができます。売却などの予定がなく、管理や維持費の負担に悩む空き家を所有していたら、上記の制度の活用を検討してみてはいかがでしょうか。