なぜ空き家管理が必要?

なぜ空き家の管理が必要なのか?空き家を放置しておくことにはどのようなリスクがあるのか?
空き家を取り巻く様々な観点からご説明いたします。

理由その 人が住まなくなった家は劣化が進みます

定期的な管理を怠り、通風、換気を行わない空き家は、湿気の滞留による畳の膨張や壁紙へのカビの発生を誘引する恐れがあります。また、長く水道を使用しないことにより配管内部にサビが発生したり、排水トラップ内の水が枯渇することで異臭発生の原因となり、害虫の侵入をまねく恐れもあります。

天井の雨漏りや、壁、床の腐食等の発見が遅れれば家の劣化スピードは増すばかりです。定期的に室内の状態を確認し、“家の異常”を早期に発見することができれば、大事に至る前に補修が可能となり、家の寿命を延ばすことにつながります。

空き家の売却や賃貸を検討されるのであれば、なお一層定期的な管理が大切です。日本の不動産市場では、管理の行き届いてない空き家(放置空き家)は、その市場価値が著しく低く評価されてしまう傾向へと進みつつあります。市場価値を回復させるためには多くの費用と時間が必要となり、所有者の負担は増すばかりです。長く住み慣れた家、故郷の実家、思い入れのある家がみるみるうちに劣化していく・・・誰もそんな姿は見たくないはずです。

理由その 不審者に狙われやすい空き家

ポストから溢れ出た大量のチラシやDM、草木が伸び放題の庭など、一目見て空き家と分かる状態で放置されている家を日本中で見かける時代となりました。

空き家に不審者が侵入し、そのまま住みついてしまう。そんな冗談のような話が現実に起こっています。管理を怠り、自ら空き家であることをアピールしてしまっていては、不審者に門戸を広げているようなものでしょう。また、不審者だけでなく、昨今では自治体のごみの分別が進み、粗大ゴミの有料廃棄が定着してきたこともあり、空き家に粗大ゴミを不法投棄する者まで現れる始末です。

粗大ゴミに空き缶や生ゴミ、これらを誰が引き取ってくれるのでしょうか?残念ながら現実的には所有者自身で処分するしかありません。ゴミを放置すれば放火のターゲットなどになる恐れもあり、衛生上の問題だけでなく大変危険です。定期的な清掃を実施することで清潔な環境を保ち、“人の手が入っている”と思わせることが不審者を寄せ付けにくくするためには大切です。

また、空き家管理事業者の看板を設置することも有効な手段の一つです。「いつ人が来るか分からない」という状態を保つことが、不審者侵入への抑止には欠かせません。

理由その 空き家が招くトラブルと行政の規制強化

屋根瓦が飛んで道路に落下。瓦を踏んだ自転車が転倒し、乗っている人が怪我をした。瓦が車に当たって破損させた。普通では起こりえない話ですが、特に劣化の著しい家屋では、壁の崩落や家屋自体の倒壊などにより、他人に危険を及ぼす可能性が否定できません。

空き家といえども所有者には「施設の管理責任」があります。当然、管理責任者として、怪我をされた方や壊れた車の所有者から賠償責任を問われることになるでしょう。定期的な空き家の管理を行い、これらの危険要素を早めに取り除いていくことが、無用の事故やトラブルの防止には欠かせません。

昨今では、空き家問題が社会問題として大きく取り扱われるようになり、防犯や景観上の観点から、そして老朽化した空き家の存在が地域社会に与える危険性を鑑み、「空家対策特措法」も制定されました。危険な空き家の所有者に対して、空き家の適正な管理の指導、勧告、命令を行い、従わない者に対しては氏名や住所を公表し、所有者の費用負担による空き家の撤去(行政代執行)まで行う・・・国や地方自治体もそのような厳しい姿勢で空き家問題に取り組んでいます。空き家の増加というものが、地域社会の安全や持続的な発展に対して極めて憂慮すべき問題となっている証左と言えるでしょう。

また、目の届かない空き家は、庭木の隣家への越境やゴミの不法投棄による異臭など、図らずも近隣住民とのトラブルを招いてしまう恐れがあります。遠くてなかなか家を見に帰れない・・・では済まされない時代なのです。