空き家にまつわる相続税について

空き家にまつわる相続税について

親族から不動産や預貯金などの遺産を相続した場合、その総額から基礎控除額を差し引いた金額に応じた「相続税」を納めなければなりません。平成27年度に行われた税制改正では、それまで課税対象とならなかったケースでも、相続税の納付義務が生じるようになったほか、人が住んでいない「空き家」に対する取り扱いがより厳格化されました。ただし、被相続人が老人ホームに入所したり、空き家を賃貸として活用したりと、一定の条件を満たしていれば減額の特例が適用されるようになっています。
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平成27年に行われた相続税の改正点

平成27年に行われた相続税の改正により、以下の点が変更されました。

基礎控除額の減額、税率アップ

相続税は、相続により受けた遺産総額から「基礎控除額」を差し引いた金額に、遺産総額に応じた税率を乗じることにより算定されます。改正前後の基礎控除額の比較は、以下の通りです。

<基礎控除額>

  • (改正前)5,000万円+(1,000万円×法定相続人数)
  • (改正後)3,000万円+(600万円×法定相続人数)

この改訂により、課税対象者が大幅に増えたことが指摘されています。また、相続税率の区分が6区分から8区分に細分化され、最高税率が50%から55%に引き上げられたため、総資産額が大きいほど税負担が増加することが考えられます。一方、未成年者や障害者に対する控除額は、60,000円から100,000円に引き上げられています(特別障害者は200,000円控除)。

小規模宅地などの特例減税

小規模宅地に相当する、比較的小さな宅地を相続した場合、相続税が一定の割合で減税される特例措置がとられます。居住用の宅地については以下の通り変更され、より減税を受けやすくなりました。

<居住用の宅地などの限度面積>

  • (改正前)限度面積240㎡(減額割合80%)
  • (改正後)限度面積330㎡(減額割合80%)

それまで減税措置対象とならなかった「空き家」に対しても、いくつかの要件を満たしていれば、減税の対象として認められるようになりました。1つは、相続が発生した時点で、被相続者が要介護または要支援認定を受けている、あるいは介護を目的とした施設に入所しているなど、身体や精神上の理由で留守になっている場合です。

また、空き家を賃貸に出した場合も、減税の対象となる可能性があります。いずれにおいても、自分で申告をしなければ制度を利用できないため、忘れずに準備をしておくことが大切です。

相続税は空き家のままだと高くなる?

相続した実家を空き家のままにしておくと、相続税が高くなってしまいます。例えば、法定相続人が4人のケースでは、5,400万円までが基礎控除額となり(=3,000万円+600万円×4)、それを越えるものを相続すれば相続税が発生します。

課税額は、相続した遺産総額が大きいほど高くなるので、相続が発生する前に、賃貸に出して活用するなどの方法を検討しておくことをおすすめします。

上述したように、空き家を相続すると相続税がかかります。税制改正により、課税対象者が大幅に増えていますが、減税の対象範囲や条件も変更されているので、相続を受けたときに慌てないよう、きちんと税の仕組みや納税額の目安について理解しておくと安心です。

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