
「日本空き家サポート」を運営する株式会社L&Fでは、空家対策特措法が完全施行された5月26日を「空き家の将来を考える日」と制定し、毎年、空き家に関する意識の現在地を明らかにすることで、官民一体となっての空き家対策の推進に資することを目的とした調査活動を行っています。
2025年度は、『現在、実家が空き家の方』を対象に調査を実施いたしました。
■調査対象と有効回答数:
- 『現在、実家が空き家の方』
親が施設へ入居、または入院しているか、親の他界により「親の家が現在空き家になっている」と回答した方 - 有効回答 450名(男性:308名/女性:142名|50歳~70歳)
※ “親”は実父母もしくは義父母を対象
※ 空き家の対象は“一戸建て”に限定
※ 調査結果の円グラフパーセンテージについては四捨五入のうえ表記
■調査期間:2025年5月7日~12日
■調査方法:インターネットによる調査 ※ 47歳~70歳の全国10,000人より該当者を抽出
■データの引用・転載について
- 本調査結果(図表含む)につきましては、媒体を問わず営利目的(営業用資料・パンフレット等、営業目的の研修・セミナー資料など)での利用は禁止させていただきます。
- 本調査結果を営利目的以外(各種メディア等での情報配信など)でご使用(転用、引用)される場合は、情報元として下記の通り記載(URL含む)をお願いいたします。
- <出展:『日本空き家サポート』による『実家が現在空き家になっている方』への空き家に関する意識調査:https://日本空き家サポート.jp/portal/column/research-akiyaday2025/>
調査結果サマリー
1法制度への認知の低さと情報浸透の課題
今回の調査では、2023年に改正された「空家等対策特措法」に関する認知度が全体として非常に低いことが明らかとなった。具体的には、法改正自体を「知っている」と明確に回答した層は22%、「管理不全空家」の新設についての認知も13.3%にとどまった。このことは、法制度の改正が一般生活者に十分に届いていないことを示しており、今後、国や自治体による広報活動や啓発の強化が不可欠である。
特に、勧告措置により固定資産税の軽減措置(住宅用地特例)が適用除外されるという、家計に直接影響する内容でさえ、「知っている」と明確に回答した層は25%にとどまっている点も、情報発信の手段やタイミングに改善の余地があることを示唆している。
問1.2015年に制定された「空家等対策の推進に関する特別措置法」(以下「空家対策特措法」という。)が、2023年に改正され、空き家対策がより強化されたことを知っていますか?
問2.改正された空家対策特措法に関する質問です。新たに「管理不全空家」という法律上の措置(指導・勧告)の対象となる区分ができたことを知っていますか?
問3.「管理不全空家」とはどのような状態の空き家を指すか、知っていますか?
問4.「管理不全空家」に指定され勧告措置を受けると、空き家が所在する土地の固定資産税が翌年から大幅に上がることを知っていますか?
2「自分で管理」志向の根強さと、その背景要因
空き家管理を「自分または同居家族で行っている」との回答が約45.1%と最も多かった。これは、「他人に任せる不安」や「通える距離にある」など、心理的・物理的なハードルの低さが背景にあると考えられる。また、「頼れる人がいない」「費用がかかる」といった消極的な理由も一定数存在しており、管理方法の選択はポジティブな主体性よりも消極的な事情に基づいているケースが多いと推察される。
しかしながら、地域社会の高齢化が進み、更に単身高齢世帯が増加する中では、「自分で管理」が現実的な選択肢にはなり得なくなっていくことが予想される。
問5.空き家の管理(例えば、換気や簡易清掃など)は、普段どのように行っていますか?
問6.空き家の管理を行うおおよその頻度について教えてください。
問7.空き家の管理にかかるおおよその費用(一回あたり)について教えてください。ここでいう費用とは、空き家に赴く際に毎回必ず発生する交通費(ガソリン代含む)や宿泊費などを指します。
3空き家管理サービスは“信頼”と“透明性”が重要
現在、空き家管理サービスの利用率はわずか2.2%にとどまっている。利用者が少ない一方で、利用者からは精神的・体力的負担の軽減、近隣トラブル予防といった肯定的な評価が寄せられている。これは、適切に機能すれば十分に支持されうるサービスであることを意味している。
ただし、不満として最も多かったのは「写真の使い回しなど、信頼性に欠ける対応」への懸念であり、これはサービスの“可視化”と“誠実性”が重要であることを浮き彫りにしている。報告書の質、作業の証拠提示、担当者の顔が見える対応など、安心感を提供する空き家管理サービスが求められている。
4空き家管理サービスの今後の普及見込みと潜在需要
空き家管理サービスの将来の普及について、「大きく普及し、利用者も増え続けると思う」「普及していくと思う」と考えている層は合わせて49.6%存在し、一定の期待感が読み取れる。空き家管理サービスはまだ普及への過渡期にあると考えられるが、サービスを提供する事業者側が、空き家所有者の期待に応えられる質の高いサービスを提供できるかが、今後重要になってくると考えられる。
このような傾向は、制度面の不透明さ、費用対効果に対する懸念、信頼性に対する不安が影響していると考えられる。つまり、サービス側の姿勢や品質に対する「納得感」が伴わない限り、潜在需要は顕在化しにくいという構図である。
5空き家管理サービスに期待される事:地域密着・専門性・透明性
信頼できる空き家管理サービスとして最も多く支持されたのは、「地域密着で地元で信頼されている企業」であり、次いで「ワンストップ対応の専門家によるサービス」や「詳細な報告書の提示」が挙げられた。これは、大手かどうかよりも、個別対応の丁寧さと信頼の蓄積が重視されていることを意味する。
調査結果
問12015年に制定された「空家等対策の推進に関する特別措置法」(以下「空家対策特措法」という。)が、2023年に改正され、空き家対策がより強化されたことを知っていますか?
問2改正された空家対策特措法に関する質問です。新たに「管理不全空家」という法律上の措置(指導・勧告)の対象となる区分ができたことを知っていますか?
※ 問1で『知っている』または『聞いたことはある』と回答した方への質問
問3「管理不全空家」とはどのような状態の空き家を指すか、知っていますか?
※ 問2で『知っている』または『聞いたことはある』と回答した方への質問
問4「管理不全空家」に指定され勧告措置を受けると、空き家が所在する土地の固定資産税が翌年から大幅に上がることを知っていますか?
※ 問2で『知っている』または『聞いたことはある』と回答した方への質問
問5空き家の管理(例えば、換気や簡易清掃など)は、普段どのように行っていますか?
問6空き家の管理を行うおおよその頻度について教えてください。
※ 問5で『自分もしくは同居家族(配偶者など)が行っている』と回答した方への質問
問7空き家の管理にかかるおおよその費用(一回あたり)について教えてください。ここでいう費用とは、空き家に赴く際に毎回必ず発生する交通費(ガソリン代含む)や宿泊費などを指します。
※ 問5で『自分もしくは同居家族(配偶者など)が行っている』と回答した方への質問
問8自分もしくは同居家族が空き家の管理を行っている理由について、近いものを全て選んでください。
※ 複数回答可
※ 問5で『自分もしくは同居家族(配偶者など)が行っている』と回答した方への質問
問9空き家の管理を依頼している理由について、近いものを全て選んでください。
※ 複数回答可
※ 問5で『親族や友人・知人などに管理を依頼している』または『空き家管理サービスを利用している』と回答した方への質問
問10空き家管理サービスを利用して「良かった」と感じる点について、近いものを全て選んでください。
※ 複数回答可
※ 問5で『空き家管理サービスを利用している』と回答した方への質問
問11空き家管理サービスを利用して「不満」と感じる点について、近いものを全て選んでください。
※ 複数回答可
※ 問5で『空き家管理サービスを利用している』と回答した方への質問
問12様々な事情により、自分で空き家の管理ができない人が増加の一途をたどる中、安心・安全な「空き家管理サービス」の普及に向けて、国(国土交通省)が不動産業者向け“空き家管理受託のガイドライン”を策定しました。こうした流れを受け、空き家管理サービスは今後さらに普及していくと思いますか?
問13“「信頼できる」空き家管理サービス”とは、どんなサービスだと思いますか?イメージに近いものを全て選んでください。
※ 複数回答可
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