特定空家と固定資産税の関係を知ろう

特定空家と固定資産税の関係を知ろう

2015年5月、倒壊などの危険性の高い空き家を減らし、所有者に対し適切な管理と活用を促す「空家等対策の推進に関する特別措置法(通称:空家対策特措法)」が全面施行されました。これにより、「特定空家等」(以下、「特定空家」という。)に指定された空き家の所有者が、自治体の勧告措置にもとづいた改善を怠った場合、固定資産税の住宅用地の特例が適用解除され、更に命令にも従わなかった場合には50万円以下の過料が科せられるようになりました。

令和5年6月14日、『改正空家対策特措法』が公布(施行は公布より6ヵ月以内)されました。詳しくは空家対策特措法 改正の影響をご覧ください。

どのような状態の空き家が「特定空家」に指定される?

空家対策特措法において、国土交通省が示す基本指針には、特定空家と判断する基準として、倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態、②著しく衛生上有害となるおそれのある状態、③適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、④その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態 の4項目を挙げています。
また、人の住んでいない「空家等」と判断する基準としては、水道、電気、ガスの使用実績や人の出入りの有無が、1年を通してない状態などを、考慮すべき要素としています。

~関連情報~
国土交通省の空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報に関するページ

実際、特定空家に指定される空き家は、全国に約849万戸ある(平成30年住宅・土地統計調査)とされる空き家のうち、ごく一部と言われています。しかし、倒壊のリスクが高いだけでなく、放火や不法投棄、不審者の侵入、家財の盗難などの発生が多発するおそれがあり、近隣住民の方の生活上大きな不安要素となっています。

特定空家指定された空き家の所有者は、行政の指導に沿って管理、修繕を行うよう義務づけられ、命令に従わないと50万円以下の過料を科されます。また、所有者の行方が分からないなどの理由で管理が難しいと判断された場合は、「行政代執行」により解体が行われるケースもあります。

特定空家に指定されると固定資産税にどう影響する?

空家対策特措法の施行により、特定空家に指定された空き家は、勧告措置がとられると、固定資産税の住宅用地の特例が適用除外されることになりました。施行前は、空き家であっても200平方メートルまでの敷地部分に対しては、固定資産税額を算出する基になる金額(課税標準額)が6分の1に減額される特例が適用されていましたが、これがなくなることで固定資産税負担が大きく増加することとなりました。

特定空家に指定された場合、仮に建物を解体して対処しても、更地として(住宅用地の特例対象でない)固定資産税が課税されるため、空き家を売却して手放すかどうかなど、早急に検討しなければならないでしょう。最近では、空き家を解体する際の費用を助成したり、売却先や再利用方法について相談に応じたりなど、管理に行き詰まった空き家の所有者を積極的に支援する自治体も増えているので、不安な場合は最寄りの窓口へ相談してみることをおすすめします。

特定空家の所有者は、売却するなどの選択を迫られますが、劣化の進んだ物件をいざ売却しようと思っても、売り手がなかなか見つからない……といった問題に直面しやすくなります。そのため、できるだけ早めに空き家の管理や、将来的な対処方法について検討しておくことが大切です。

空き家のお役立ちコラムに戻る