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『空き家の売却を経験された方』への意識調査 2026年

『空き家の売却を経験された方』への意識調査 2026年

「日本空き家サポート」を運営する株式会社L&Fでは、空家対策特措法が完全施行された5月26日を「空き家の将来を考える日」と制定し、毎年、空き家に関する意識の現在地を明らかにすることで、官民一体となっての空き家対策の推進に資することを目的とした調査活動を行っています。

2026年度は、『空き家の売却を経験された方』を対象に調査を実施いたしました。

調査対象と有効回答数:

  • 『空き家の売却を経験された方』
    過去に、誰も住まなくなった不動産(空き家・実家など)を売却したことがあると回答した方
  • 有効回答 350名(男性:272名/女性:78名|40歳~86歳)
    ※ 10年以内に空き家の売却を完了した方に限定
    ※ “自分が住んでいた家を引っ越しと同時に売却した(住み替え)”による空き家は対象外
    ※ 調査結果の円グラフパーセンテージについては四捨五入のうえ表記

調査期間:2026年5月8日~12日

調査方法:インターネットによる調査 ※ 40歳~86歳の全国10,000人より該当者を抽出

データの引用・転載について

  • 本調査結果(図表含む)につきましては、媒体を問わず営利目的(営業用資料・パンフレット等、営業目的の研修・セミナー資料など)での利用は禁止させていただきます。
  • 本調査結果を営利目的以外(各種メディア等での情報配信など)でご使用(転用、引用)される場合は、情報元として下記の通り記載(URL含む)をお願いいたします。
  • <出展:『日本空き家サポート』による『空き家の売却を経験された方』への意識調査:https://日本空き家サポート.jp/portal/column/research-akiyaday2026/>

調査結果サマリー

1法制度認知の「広く浅い」浸透と、節税特例の認知ギャップ

今回の調査では、2023年に改正された「空家等対策の推進に関する特別措置法」について、「詳しく知っている」と回答した層は15.7%にとどまった一方、「なんとなく知っている」を含めると認知率は76.8%に達した。一定の浸透が見られるものの、その大半は表層的な認識に留まっており、改正によって自身が受ける具体的な不利益(管理不全空家への指定や住宅用地特例の解除等)まで踏み込んで理解している層は限定的であると推察される。

さらに看過できないのは、売却時に最大3,000万円の譲渡所得が控除される「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」を「知らない」と回答した層が38.6%にのぼっている点である。本特例は売却の経済合理性を大きく左右する制度であり、本来であれば売却を実際に経験した層(今回調査の対象者)において認知率が高くなって然るべきところ、約4割が制度の存在自体を認知しないまま売却プロセスを進めていた可能性が示唆される。罰則型の制度(空家対策特措法)と比較して、活用型の制度(3,000万特別控除)の認知が相対的に低いという「逆転現象」は、官民を挙げた情報発信戦略上の重要な論点である。

2「物理的負担」と「経済的不安」が売却プロセスを長期化させる構造

空き家の売却に際して感じた不安や不満について、「荷物の片付け・遺品整理」が44.3%で最多となり、「税金や手数料などの諸費用」(40.6%)、「査定価格の妥当性」(37.1%)が続いた。さらに売却の障壁として最大の要因に挙がったのも「荷物の整理や片付けが大変」(44.3%)であり、不安項目と障壁項目の双方でトップを占めている。

この結果は、空き家売却において最も大きな心理的・物理的な「最初の壁」となるのが、不動産取引以前の“家財整理”であることを明確に示している。実際、所有(相続等)から売却開始までの期間は「2年以上」が52.0%と過半数を占め、「3年以上」も33.7%にのぼった。売却の意思決定が遅延する真因は、必ずしも市況や条件交渉ではなく、その手前の「片付けに着手できない」「片付け方が分からない」という入口の停滞にあると考えられる。空き家の売却をサポートする宅建事業者においては、仲介機能のみならず、「遺品整理・残置物処分・空き家に関連する税金等に関する正しい情報提供」など、ワンストップ対応が求められる局面に入っていることが推察される。

3「遠距離所有」が常態化し、地元密着型サポートの必要性が高まる

居住地から空き家所在地までの片道移動時間について、「1時間超」が51.7%、「3時間超」も20.8%(うち「5時間超」が11.4%)にのぼり、所有者の半数以上が、気軽には現地に通えない距離で空き家を保有している実態が明らかとなった。

この物理的距離は、売却プロセスにおいて重大な制約条件となる。具体的には、(1)荷物整理のための度重なる現地往訪が困難、(2)複数社からの査定立会いや内覧対応の負荷が著しく重い、(3)売却中の維持管理(換気・草刈り・近隣対応)が事実上不可能、といった連鎖的な障害を引き起こす。実際、Q2において「売却できるまでの維持管理」を不安として挙げた層が34.9%にのぼっていることも、この距離問題と無関係ではない。「遠隔地に所有する空き家を売却する」という構造的課題に対しては、現地に根を張る地域密着型の宅建事業者が、所有者の代行窓口として一気通貫で機能することが不可欠であり、ここに専門事業者が果たすべき社会的役割が存在している。

4売却依頼先選定の決定要因は「誠実さ」と「地元への精通」── 査定価格より信頼

売却を依頼する不動産会社を決定する際に最も重視されたのは、「担当者の誠実さ・信頼感(メリットだけでなくリスクも説明してくれたか)」が43.7%で群を抜いて1位となり、「地元の情報に精通しているか」(32.3%)が続いた。一方で、従来の不動産業界において訴求されがちな「査定価格の高さ」は24.6%、「会社のブランド・知名度」は24.9%にとどまり、いずれも誠実さ・地元精通の項目を大きく下回った

さらに「信頼して任せられる」と感じる依頼先としても、「地元の不動産会社(土地勘がある、親身な対応)」が48.9%で最多となり、「大手不動産会社」(31.1%)を17ポイント以上引き離した。注目すべきは、「空き家に特化した専門的なサービスを総合的に提供している事業者」が24.6%の支持を集め、自治体・空き家バンク(23.7%)と同水準の信頼を得ている点である。

これらの結果は、空き家売却という案件の特殊性(通常の中古住宅売買とは異なり、相続・遺品整理・近隣関係・遠隔管理など複合的な要素を抱える取引)において、所有者は「価格を吊り上げてくれる相手」ではなく「リスクを誠実に開示し、地域事情を踏まえて伴走してくれる相手」を求めていることを示している。地元密着の知見と空き家特化の専門性を兼ね備えた事業者へのニーズは、今後さらに顕在化していくものと予想される。

5売却の決め手は「コスト回避」から「将来リスク回避」へ ── 「負動産」意識の浸透

売却の決め手として最も多く挙げられたのは「維持費(税金・保険など)がもったいないと感じた」(43.7%)であり、目先の保有コストへの忌避が依然として最大の動機であることが確認された。一方で注目すべきは、「将来的に買い手がつかなくなる(「負動産」化する)リスクを避けたかった」が26.0%、「人口減少や過疎化が進む前に、売却できるタイミングで手放したかった」が15.4%と、合計で4割超の層が将来の出口”を見据えた予防的売却を選択している点である。

近年メディア等で繰り返し報じられてきた「負動産」「相続放棄」「相続土地国庫帰属制度」といった概念が、空き家所有者の意思決定に着実な影響を与え始めていることが窺える。所有者は単に「今かかるコスト」だけでなく、「10年後・20年後に売れなくなるリスク」までを織り込んで判断する局面に入っていると言える。これは、空き家の出口戦略における「早期決断」の重要性が広く認識され始めた証左でもある。

調査結果

問12015年に制定された「空家等対策の推進に関する特別措置法」(以下「空家対策特措法」という。)が、2023年に改正され、空き家対策がより強化されたことを知っていますか?

詳しく知っている:15.7%/なんとなく知っている:61.1%/知らない:23.1%

問2空き家(実家)を売却した際、または売却活動中にどのようなことに不安や不満を感じましたか?

※ 複数回答可

査定価格の妥当性:37.1%|建物の瑕疵(不具合)への責任:21.7%|荷物の片付け・遺品整理:44.3%|不動産会社の対応・不信感:21.4%|税金や手数料などの諸費用:40.6%|近隣への配慮・知られたくない心理:14.3%|売却までの期間の長期化:36%|境界確定などの権利関係:24%|売却できるまでの維持管理:34.9%|相続登記が困難(亡くなった親名義でないため):13.4%|その他:0.0%|不安や不満を感じたことがない:14.6%

問3空き家(実家)を所有(相続等)してから売却開始までの期間についてご回答ください。

1年未満:24%|1年以上2年未満:24%|2年以上3年未満:18.3%|3年以上:33.7%

問4売却を決定・実行する上でどのような「障壁(ハードル)」がありましたか?

※ 複数回答可

荷物の整理や片付けが大変:44.3%|建物の老朽化・修繕費の不安:25.7%|仏壇や位牌の扱い:19.4%|親族間での合意形成ができていない:14%|相談先がわからない:22.9%|信頼できる業者がいない:18.6%|思い入れが強く売却に踏み込めない:16.6%|相続登記が困難(亡くなった親名義でないため):9.4%|近隣との揉め事:10%|その他:0.6%|障壁(ハードル)はなかった:16.9%

問5空き家(実家)の売却を検討する場合、まず最初にどこで情報を集めますか?

※ 最大3つまで選択可

インターネット検索(例:「地名+空き家+売却」で検索):28.3%|不動産一括査定サイト(複数の会社にネットで一括見積もり):32.9%|物件の近くにある地元の不動産会社(店舗に直接訪問・電話):40%|自治体の空き家バンクや相談窓口:14.3%|知人・親族からの紹介や評判:18.9%|新聞広告・ポストに入っているチラシ:8%|SNS(YouTube, Instagram, Facebook等):6.9%|税理士・司法書士などの専門家(相続手続きのついでに相談):19.1%|その他:0.6%

問6空き家(実家)を売却した時の税金に関する特例「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」について知っていますか?

詳しく知っている:13.7%|なんとなく知っている:47.7%|知らない:38.6%

問7あなたのお住まい(居住地)から売却した空き家(実家)の所在地までの移動に要する時間(片道)についてお答えください。

※ 車や公共交通機関の利用を前提にご回答ください

30分以内:22.9%|1時間以内:25.4%|3時間以内:30.9%|5時間以内:9.4%|5時間超:11.4%

問8売却を依頼する不動産会社を決定した際、最も重視したことは何ですか?

※ 最大3つまで選択可

担当者の誠実さ・信頼感(メリットだけでなくリスクも説明してくれたか):43.7%|査定価格の高さ(他社よりも高い金額を提示してくれたか):24.6%|提案の具体性と根拠(データに基づいた売却戦略があったか):16.9%|地元の情報に精通しているか(近隣の売買実績や地域事情に詳しいか):32.3%|税金や法律に関するアドバイス:18%|片付けなどの付帯サービスの充実(ワンストップで任せられるか):21.4%|会社としてのブランド・知名度(大手である、または業界での実績があるか):24.9%|仲介手数料の安さ:13.1%|SNS等のインターネット上の評判・評価:6.9%|その他:1.7%

問9空き家(実家)の売却を「信頼して任せられる」と感じる依頼先は、具体的にどのような会社・窓口ですか?

※ 複数回答可

大手不動産会社(CMなどで名前を知っている、店舗数が多い):31.1%|地元の不動産会社(その地域の土地勘がある、親身な対応):48.9%|ハウスメーカー・建築会社(家を建てた会社、建物の構造に詳しい):17.7%|金融機関からの紹介先(資産管理の相談ができる、資金面で安心):16.9%|自治体・空き家バンク(公的な窓口、営利目的ではない安心感):23.7%|専門家からの紹介先(司法書士・税理士など)(相続や登記、税金の相談ができる):21.1%|空き家に特化した専門的なサービス(管理・活用・売却等のサポート)を総合的に提供している事業者:24.6%|その他:2.3%

問10空き家(実家)を売却しようと思った「決め手」は何ですか?

※ 複数回答可

維持費(税金・保険など)がもったいないと感じた:43.7%|庭の手入れや掃除などの管理が負担になった:27.1%|放置による近隣トラブルや事故が怖かった:24.3%|相続した兄弟などで遺産を等分したかった:16%|空き家に関連する減税措置(3,000万円特別控除など)の期限が迫っていた:16%|良い買い手や不動産会社が見つかった:24.6%|人口減少や過疎化が進む前に、売却できるタイミングで手放したかった:15.4%|将来的に買い手がつかなくなる(「負動産」化する)リスクを避けたかった:26%|その他:1.7%

本コラムの内容は公開・更新時点の情報に基づいて作成されたものです。最新の統計や法令等が反映されていない場合がありますのでご注意ください。

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