少子高齢化や戦後長らく続いた新築偏重の住宅政策などの影響を受け、全国の空き家件数は年々増え続けています。売却や賃貸に出される予定もなく放置されている空き家も多く、景観の悪化や不法投棄や犯罪の温床となるリスクが高いなど、様々な問題点が指摘されています。 解体するにも費用がかかるといった理由で、処分しづらくなった空き家を抱えている場合は、思い切ったリノベーションで、新たな用途を検討してみるのも1つの選択肢です。
空き家をリノベーションするのはどんなとき?
両親から実家の一戸建て住宅を譲り受けたものの、どのように活用または処分したら良いのだろう……と悩んでいる方は少なくありません。
誰も住んでいない空き家でも、固定資産税などの維持費は負担しなくてはなりませんし、売却や賃貸に出そうと思っても、築年数が経過した古い家に買い手がつくかどうか不安もあるでしょう。
すでにマイホームを所有していて、できるだけ早く売却または賃貸に出し、確実な収入を得たいといった理由から、空き家のリノベーションに踏み切るケースが見られます。この他にも、空き家となった一戸建て住宅を賃貸用のシェアハウスに変更するといったケースで、リノベーションが活用されています。
空き家をリノベーションするメリット
空き家のリノベーションでは、建物の部分的な改修に止まらず、間取りや内装、設備を大幅に変更し、住まい全体の性能を向上させます。築年数が経過して、老朽化が進んだ建物の耐久性や耐震性の強化、環境と家計に優しい省エネルギー住宅への変換も可能でしょう。
リノベーションをすることで、空き家が新築住宅のように生まれ変われば、売却した際にも買い手がつきやすくなり、将来的な資産価値の維持にもつながっていくはずです。
また、再び住まいとして活用すれば、長年慣れ親しんだ家に住み続けることもできるでしょう。
空き家のリノベーションにかかる費用の相場
そもそもリノベーションとは、古い建物を工事して新しい機能を追加したり、デザイン性を高めたりすることを言います。よくリフォームと混同してしまう方がいますが、リフォームは古くなった設備などを改修して新しくすることで、原状回復に近いと言えるでしょう。リノベーション、リフォーム、それぞれどれくらいの費用がかかるかは、ケースによって異なるので一概には言えません。
空き家のリノベーションは、同等の条件で新しく家を建てるよりも、ある程度のコスト削減が可能と言われており、一戸建て住宅の場合は約500万~1,000万円が相場で、建物の傷み具合や使用する資材、設備など、その内容によって幅があります。
また、壁や床を全て取り除いて、骨組みだけのスケルトン状態にしてから行うもの、間取りを大幅に変更するもの、内装や外観のみの工事など、所有者の意向により費用は大きく変わってくるのも特徴の1つです。
なお、空き家のリノベーションでは、予算に応じた工事も可能です。デザイン重視、設備重視など、リノベーションの優先順位を明確にし、不要な工事は行わない、自分達にできる範囲は自分達で手を加える、といった方法で費用を節約することができるでしょう。
空き家を放置し続けると、周辺の景観や治安を悪くするだけではなく、資産価値もどんどん低下してしまいます。空き家をリノベーションすることで、再び住まいとして活用できるようになれば、管理や税金の負担から解放されるなど、さまざまなメリットが生まれます。もし、処分に困った空き家を所有している場合は、ぜひリノベーションを検討してみてはいかがでしょうか。