空き家は、長期間放置していると、周辺地域の治安に深刻な影響を及ぼします。長期間人の出入りがなく管理が疎かな空き家ほど、不審者の住み着き(不法占拠)、放火などを誘発しやすくなるほか、監禁や麻薬売買などの犯罪拠点として利用されることもあり、大変危険です。こうした懸念を受け、2015年に施行された空き家対策特別措置法では、空き家の適正管理を所有者の努力義務と定め、生活環境の保全を図るとしています。
空き家を放置することで発生し得る犯罪
庭に雑草が生い茂っている、窓ガラスが割れているというように、誰が見ても「人が住んでいない」、「管理者不在」と思われてしまうような空き家は、不審者による侵入、窃盗、住み着きなどの犯罪に利用されやすくなります。
所有者に放置された空き家は、事件が起きても発見されるまでに時間がかかるため、被害が拡大するリスクも高いと言えるでしょう。例えば、「放火」もしくは「不法侵入」によるタバコの不始末などを原因とした火災では、発見が遅れ隣接する家々にまで被害が及んだとしても、失火責任法(失火法)が適用されます。そのため、重大な過失がない限りは損害賠償責任を問われることはありませんが、所有者の責任が強く問われることになります。
見知らぬ誰かにいつの間にか住み着かれてしまった場合も、被害は深刻です。勝手に家財や水道、電気を使用されていたり、生活ゴミを放置されたりといった問題が発覚すれば、所有者だけでなく、周辺住民に対しても多大な迷惑をかけてしまいます。こうした犯罪に一度利用されてしまうと、いざ売却しようと思ってもなかなか買い手がつかず、所有者への負担は一層厳しさを増してしまうかもしれません。
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どんな防犯対策をとれば良いのか?
まずは、空き家を下見に来る不審者に対し「所有者が常に出入りしている」、「管理が行き届いている」と知らせることが大切です。ポストに郵便物やチラシがたまっていたり、庭に背丈の高い雑草が生い茂っていたりすると、所有者が空き家を放置していると判断され、簡単に侵入されてしまいます。
また、「防犯意識」の高さをアピールするのも効果的です。定期的な見回りはもちろんのこと、監視カメラや防犯ステッカー、センサーライトの設置や、足で踏むと音が鳴る砂利を庭に敷き詰めることで不審者を威嚇しましょう。
また、不審者の進入経路となりやすい、窓ガラスや玄関にしっかりと対策を講じる必要があります。窓ガラスは、防犯フィルムを貼っておくと簡単に破られなくなります。玄関には、補助錠を取り付けて2重、3重に施錠しておくと安心です。
住まいが遠く定期的な見回りが難しい場合は、空き家管理業者に依頼すると良いでしょう。管理業者は、依頼者が所有する空き家を巡回、点検し、犯罪を未然に防げるようしっかりとサポートしてくれます。
年々増加する傾向にある空き家は、周辺地域の治安に悪影響を及ぼすだけではなく、景観や衛生状態を悪化させ、周辺住民とのトラブルにも発展しがちです。被害が大きければ損害賠償責任を問われる事態にもなりかねないため、日頃からしっかりと管理しておくことを意識するようにしましょう。