一般の住宅だけでなく、人が住んでいない空き家であっても維持管理費用はかかります。固定資産税や都市計画税、経年劣化する外壁の補修や庭木の整備など、空き家を所有している限り負担しなければなりません。この他にも、空き家の劣化を防ぐ管理のためや、いつでも人が住めるようにと、電気や水道などのライフラインをそのまま契約していれば、毎月利用料金がかかります。定期的な管理をしておらず、水道管の破裂や電気の消し忘れなどで、思わぬ出費を招かないよう注意しましょう。
空き家にかかる水道光熱費の目安
空き家の劣化を防ぐためには、定期的に換気や通水、清掃など行うことが大切ですが、1カ月に1~2回実施するだけでも水道光熱費がかかります。これらライフラインの契約を継続していた場合は、基本料金と使用料金の合計額を支払う必要があります。このうち、電気料金は契約しているアンペア数にもよりますが、月々1,000~3,000円前後の負担になることがあります。
上下水道料金も、同程度の基本料金がかかります。また、周辺に住宅が少ないことから浄化槽を使用している家では、定期的なメンテナンス費用が必要です。
空き家管理業者に依頼した場合の水道光熱費
住まいが遠く離れていて、定期的に空き家に行くのが難しいなどの理由で、空き家の管理を業者に依頼する場合、各種作業にかかる水道光熱費は、基本的に依頼者の負担になります。ただし、電気、水道、ガス全てのライフラインを使用するのではなく、通水用の水道についてのみ、契約の継続をお願いしている空き家管理業者が多いようです。
電気は、換気扇を回したり、定期的な運転が必要な食器洗い洗浄機がある場合などに費用が発生しますが、空き家管理業者との契約内容によって異なります。ガスについては、安全に配慮し閉栓しておくため、原則として費用はかかりません。
空き家の光熱費を節約するコツ
空き家を所有していると、電気や水道を使った記憶がないのに、使用料金が加算されることがあるかもしれません。それは、冬場の水道凍結防止用ヒーターや浄化槽のエアポンプなどが稼働していたり、温水便座のコンセントや冷蔵庫のコンセントがささったままになっていたりする場合などが考えられます。
人が住む予定のない空き家では、生活に必要のない電気は使用しないようコンセントを抜いたり、部分的にブレーカーを落としたりしておくと良いでしょう。また、地震が起きた際などに、水道管の破裂による水漏れが原因で、水道料金の負担が増えるケースも少なくないため、定期的な点検を欠かさず行うようにしましょう。
空き家の維持管理に必要なライフラインを確保
たとえ、空き家にかかる水道光熱費を節約したいからといって、通水や清掃を疎かにするのは避けましょう。通水不足が原因で、水道管が錆び付き交換が必要になれば、年間水道料の何倍もの費用がかかってしまいます。
さらに、長期間に渡って電気や水道が使用されていない空き家は、自治体の調査により「特定空家等」に指定される可能性があります。特定空家等に指定されると、所有者に対し修繕や管理体制の改善を求められるだけではなく、固定資産税の軽減措置の適用から外されてしまうケースもあります。
空き家だからといって、ライフラインを完全に止めることはできません。建物を良好な状態に保つためにも、水道や、場合によっては電気が必要になります。人が住んでいない家のために、水道光熱費を払うのは少々荷が重いかもしれませんが、ここでご紹介したポイントを押さえていれば、水道光熱費の負担を必要最小限にすることができるはずなので、ぜひ参考にしてください。